４ヵ月。
たったそれだけの月日の流れがあっという間で、まったく実感のないまま、先生が亡くなって４ヵ月が経ってしまった。引くことを知らない津波の様に押し寄せていた課題・就活・卒業・引っ越しという多忙な日々が、先生の死を悲しむ暇さえ与えてはくれず、３ヵ月が経っていた。
専門学校を卒業して仕事をし出した。忙しくはあるけれど他のことを考える余裕ができたのか４月に入ってからは先生の事ばかり考える日々が続いている。
３月まではずっと忙しくて、本当のところ先生が亡くなったという実感が全くなかった。どこかでばったり会ったり、また急にメールが送られてくるんじゃないかという想いが消えなくてメールチェックをするたびに、ついつい先生のメールフォルダを開いてしまうことが度々あった。
４月に入って冷静に先生のことだけを考えるようになり、今更になって先生がいなくなってしまったということを実感するようになってしまった。
ダメだとわかっているし、先生が亡くなったと聞かされたあの日に「泣くのは今日だけだ」と決めたはずなのに、帰り道や電車の中で急に溢れてくる涙を止めることができない。
先生と過ごした日々はあまりに短すぎたけれど、その中でいろんな事を話し頂いたものも多かった。
私の性格を理解して、二人きりになると必ず聞いてくれた「元気？」という先生の言葉が忘れられない。週に一度会う度に聞かれたその一言に救われていた。
平成19年９月４日。
忘れもしないあの日、先生に大切な言葉をもらった。
「照れくさいからこんなこともう２度と言わないぞ」という言葉で切り出された想いがけない言葉に正直驚いたけれど、それ以来ずっとその言葉が私の支えとなっていた。たぶんあの言葉があったからこそ、本気で先生の事を信用できるようになったんだと思う。
先生は無くなる直前、直接会ったときやメールでいろんなことに対してお礼を言ってくれた。
「どうしてこの人は最近こんなにお礼を言ってくれるんだろう？」と思いつつ、私はそれに対してなんのお礼も返さなかった。全部終わったときにと思っていて、力を入れてくれていた作品が卒業秀作選に載れば先生は喜んでくれると思っていたし、その時お礼を言うことが一番良いと思っていたから。もちろん載れなくたって最後には必ずお礼を言おうと思っていた。
けれど、先生は全てが終わる前に亡くなってしまった。
作品が完成する間近だったこともそうだけれど、一番悔しかったのはお礼を言われるだけ言われて終わってしまったこと。何も返さなかった自分が許せなくて悔しくて歯がゆかった。
先生が亡くなったと知ったあの日から、私の卒業制作はもう２度と完成しない作品になってしまった。けれど、それと同時に、先生との大切な約束が自分にとって本当の目標となった。
先生に頂いた大切な言葉も、約束も何なのかはまだ言えないけれど、この目標がある限り、私は絶対に小説を書き続けるということを忘れないだろうし、決して夢を捨てることはないと思う。
「仕事が忙しい」という言葉で逃げないで、時間を見つけるのではなく自ら作って少しずつでも執筆活動を続けていけるようにしたいと思う。とにかく今は、小説を書くと言うことから離れたくないという想いから先生に勧められた本を毎日少しずつ読んでいます。
ありがとうって言う言葉は、心に届く本当に大切な言葉だから、伝えたい人がいるのなら時期をまったりせず、その時に伝えて欲しい。
「明日があるから」は、一番捨てなきゃいけない考えなんだと言うことを、先生に学んだ。
いつかちゃんと目標を果たしてデビューしたら、その時は先生のお墓参りに行きたい。たった今、自分で時期を待つなって言ったばかりだけれど、墓前に行くって言うのはそのくらい大切な事なんだと思う。
デビューしてお墓参りに行ってお礼を言うこと。それが、私の第１の目標を果たした後の第２の目標です。
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